APIによる商品情報共有で何が変わるのか

GDSN(グローバルデータ同期化ネットワーク)は、ブランドオーナー(商品の製造者、PBオーナーなど)データ受信者に対し、常に最新の商品情報(または企業情報)を共有できるように考えられた仕組みです。GDSNは企業間における情報共有に重点が置かれ、これまではサプライチェーン最適化のための商品の寸法や入数、受発注に関する情報が主な内容でした。

GDSNの発祥はサプライチェーンでしたが、商品情報を必要とするところは他にもあります。ヨーロッパでは、オンラインで商品を購入する時、お店で商品を買う時に同じレベルの商品情報を消費者に事前に開示しないと、オンライン販売そのものが違法になる「EU1169規制」が今年の12月から施行されます。お店で商品を買う時は、栄養成分や原材料、アレルギー成分などがパッケージの裏面から確認できますが、オンラインショップに情報があるとは限りません。オンラインとオフラインコマースの差をなくし、消費者の権益を守るというのがこの規制の目的です。

EU1169のようなコンプライアンス準拠でなくても、オンラインで商品を購入する時に、消費者が商品を購入する時の決め手となるのは、現物を確認できない以上、商品情報がすべてです。多くの消費者が商品のスペック情報や画像をオンラインで確認し、またオンラインならではの商品の口コミ情報なども入手し、参考にします。最近はオンラインで調査し、現物をオフラインのお店で確認し、オンラインで価格を比較してもっとも安い価格で購入するという「スマートショッパー」も増えています。

しかしウェブ上で見られる商品情報は、誰が提供したものでしょうか。商品をもっとも熟知しているブランドオーナーが責任を持って出したものとは限りません。多くの商品情報はECサイトの担当者が人海戦術で集めたものだったり、クラウドソーシング消費者が投稿したものもあります。当然ながら、このように集めた商品情報は信頼性に欠け、最新の状態を保つのも難しいです。

多くのECサイトによって、商品情報のチャンネルとしてGDSNを使うのはハードルが高いです。GDSNは、情報受信者がデータベースを自ら管理し、そこに常に最新の情報アップデートを送信し続けることを前提としていますが、実際は受発注に関する情報など、関係依存情報、個別情報などが付加され肥大化し、送る側も受信者を指定して公開制御をするなど、ECサイトが使う「消費者向け商品情報」の共有ツールとしては、少し大げさかも知れません。

ここで新しく登場したのが、APIによる商品情報共有です。APIとは、システムに必要な機能を直接持たず、外部に委ねることです。例えば自社店舗の地図を表示するために、わざわざ地図DBを持っていなくても、住所さえ送れば、グーグルマップのAPIが自動的に地図を送ってくれます。

同じく、商品のキーとなるGTINをAPIサーバーに送信すれば、瞬時に商品の原材料、アレルギー成分などの基本情報や商品の画像を瞬時に返してもらうことが可能です。ウェブページにGTINをAPIサーバーのリンクを埋め込むだけで、自動的に商品情報が表示されるようになれば、ECサイト業者が頭を悩ましている商品情報の管理業務から解放されるでしょう。ECサイト側は、自分でDB管理をする必要がなく、外部からその都度データを連携して使い、その外部の情報ソースをブランドオーナーがきちんと管理すれば、いつも最新かつ正確な商品情報を配信できるようになるわけです。

また、APIはモバイルチャンネルでも活躍するでしょう。スマートフォンのバーコード読み取り機能と連動し、APIから商品画像や商品情報を取得できるので、食品のアレルギー成分のチェックや、ダイエット管理アプリのカロリー入力も簡単にできるようになります。日本の商品情報を英語や中国語などの複数言語で登録しておけば、外国人の観光客もバーコードをスキャンしただけで商品情報がわかり、大いに助かるでしょう。アプリ開発者の創意力と工夫で、いろいろと面白いアイデアが生まれることを期待します。

さらに、情報を提供するブランドオーナー側は、どのECサイト、どのアプリからアクセスがあったか情報が蓄積されるので、マーケティングツールとして活用できます。

1WorldSyncは、GS1標準に基づいたAPI基盤の商品情報配信をすでに開始しています。日本でもこの取組が近い将来普及することを期待します。

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